落ち着きのない子供


(母親からの電話での問い合わせ)

小学3年生 女子 身長130cm 体重29kg
父母、姉、兄、弟 の家庭。

授業時間歩き回るので他の生徒の父母達から
「気が散るのでうちの子の学力が下がった、迷惑だ」
といわれている。

風邪を引いたことはあるが他の病気はしたことがない。
幼時に疳の虫やおねしょなどもなく親に手間をかけることは何もなかった
幼稚園のころは活発であった。
小学1年のころから他の子(兄弟)より落ち着きがないと思うようになった。

いろいろな治療法を受けたり探したりしている。
鍼でなおるでしょうか?


一回目

子供は嫌がらないで納得してやってきた。

一瞬もじっとしていない。
治療室中を歩き回る。
治療器具を触ろうとする。
電動ベッドを上げ下げする。
ドアを開け閉めする。
治療室を出たり入ったりする。
ベッドには乗らない。
椅子にも腰掛けない。
動き回りながら、質問には素早く,適確に、手短かな返事をする。
頭が良く回転が速いと感じた。

腕や胸は触らせるが背中は見せるのも嫌がる。
母親と私と子供の3人が治療室の中で立ったままうろうろしながら話をする。
母親が子供を抱いて椅子に腰掛け歩き出さないように股の間に子供の足を挟む。
子供のTシャツの背中をまくる。
身柱のつぼの位置を教える。
ここまでがやっと。
灸点紙と艾を渡してお母さんにすえてもらうことになった。


二回目(次の日)

「この位置で良いのでしょうか」と確認に来られた。
身柱あたりの肌がピンク色になっていた。

背中は見せるのも嫌がる。
衣服の上から少し撫でさせるだけ。
右手の孔最に1壮だけやらせてくれた。
褒めて終わり。


3回目(13日後)

「気のせいか動きが少なくなってきました。それでその回りもやってみました。
毎日やっています」とのこと

まだ教えていなかったのに風門と心兪のあたりが赤くなっている。
親の愛情の素晴らしさに驚く。
子供を見ると顔がふっくらとして穏やかで目が大きくなっている。
ベッドに初めて横になる。
身柱に2壮すえさせる。3壮は嫌だという。

他のつぼの位置もプリントしてお母さんに渡す。


身柱・風門・心兪・百会・正営・神臓・孔最



4回目(35日後)

ベッドに横になって
身柱・霊台・孔最・百会に1壮づつすえさせる。

わたしの目を見て話をするようになった。
瞳がきれいで笑顔が可愛い女の子になっていた。
(初対面のときは、なんて活発な男の子かしら?と思ったくらい)


感想
毎日すえる母親の熱意。
愛情から会得するつぼの位置。
48日間の子供の変わりよう。

参考文献 代田文誌 「鍼灸治療の実際」

施術体験の目次へ戻る